KOLORのデザイナー阿部さんに教えてもらった「ナイロンフィラメント」の素材の作り方から、服の奥深さを考えてみる

Posted by in 08SIRCUS[ゼロエイトサーカス], 2013SS, KOLOR [カラー]通販, 展示会, 春夏ファッション, 素材


さきほど、2ヶ月弱ぶりの久々にこのブログを更新してみた。

http://tiurf.com/blog/2013/02/17/blog-restart/

続けてすぐにもう一つ記事を書こうとしたところで、MACBOOK PROの電源落ち。

外付けHDに入れた画像のライブラリデータがクラッシュ。復旧に15分。
データの中には、展示会で撮った品番データもあるから、これがないと発注作業もできない。。

というようなことを、またいつものようにFacebookに書こうとしていて、
おっと、イカンイカン、こういうことを、今日からはFacebookではなく、ブログに書くのだ。

とゆわけで、 画像データが復旧するまで、今回は文字だけで書いてみる。

 


KOLORと08sircusの発注なう。

 

今日は日曜ですので、この時間は本来はお店の店頭に立ち、接客をすべきなのだけれど、
先週あった展示会の発注作業が終わらないので、これを今某カフェにて作業してます。

その発注作業とは、先週東京であったKOLOR08SIRCUSという、TIURFの2大メインブランドの発注。

シーズンは、2013-2014秋冬である。

 

KOLORは、

1月にパリにてパリコレのショーも観てきているんだけど、実際の商品に触れるのは東京にきて初めて。

パリでのショーでは、縦に色が切り替えしされたニットジャケットダウンベストが気になっていて、
これの価格や素材感のチェック、あとショーで使っていないピースのチェックなどをまずは重視してみる。

実際みてみても、13秋冬KOLORは、やっぱりダウンが良かった。あと、様々な縮絨加工してある新素材のバリエーション。

 

展示会では生産スタッフを見かけたら、
つかまえていろいろ教えてもらう

僕の場合、展示会では、特にKOLORの展示会では、

質問する場合はなるべく営業さんではなくて、「生産」に近いスタッフに質問をするようにしている。
そしていろいろ教えてもらう。

営業さんがダメってわけでは決してないんだけれど、
KOLORくらい、凝った作り込みをしているブランドになると、ぼくらバイヤーでも観ただけではわからないような様々な工夫や苦労をしていて、やはりそういう見ただけではわかない話は、生産現場でアレコレと悩みながら作っている生産スタッフだけがしっている部分。

これを聞き出すことに成功すれば、お店の品揃えにちょっとした変化が起こる。

たとえば他の地方ショップや、都内の大型店であってもあまり発注しないようなレアなアイテムで、おそらく実際に発注してもそんなに売れないと思われる「売れ筋ではない商品」があるとする。
でも、じつはそれが、作り手からしてみるとものすごい苦労して作ったアイテムで、思い入れもあって、、、というケースが 多々ある。

 

TIURFのお店は、せっかく【コレクションブランド】を扱っている以上、
そうした「売れ筋ではないアイテム」も、理由がちゃんとしてれば売れないと分かっていてもオーダーしたい、という方針だ。

まー、ほとんどのブランドの場合、

見た目でいい商品=売れる商品=ブランドも力をいれている商品

として一致するんだけど、

KOLORのような「技術」や「経験」を持っているブランドになると、
それが一致してないこともたまにあるのだ。

 

ナイロンフィラメント素材の例 

たとえば2013春夏のKOLORでいうと、

ナイロンフィラメントの素材シリーズ と、 カラミの素材シリーズ がそうした「作り手側」のこだわり アイテムである。

この2素材については、展示会場でデザイナー阿部さんから直接聞いたもので、
「今季、一番気に入ってる素材はどれですか??」と質問したときに教えてもらった3つの素材のうちの2素材だ。

ナイロンフィラメントのシリーズは、正直なところ、展示会で見ただけでは僕はピンときてなくて、
というか、(これは無いな)というくらい、ほとんど切り捨てて見ていた。

素材がまず、ものっすごく固いし、ゴワゴワしてるし、いま「柔らかくて着やすい」服がトレンドになっているなかで逆走している。
他に着やすくて使いやすい服がたくさんある中で、展示会でもこの素材だけは目に入らなかった。

しかし、デザイナーさんは、この堅くてゴワゴワした『ナイロンフィラメント素材』が気に入ってるという。

ぼくは「ギョッ」として、理由を聞いてみたら、納得できた。

 

理由はこうだ。

繊維素材というのは、大きく分けて2つある。
長繊維(スパンデックス)と短繊維(フィラメント)だ。

短繊維(フィラメント)とは

たとえば綿はもともと綿花から出来る綿(ワタ)を紡いで糸にする。ウールも、短い毛の繊維を紡いで1本の糸にする。
こうして、短い繊維の集まりでできた糸を、短繊維(フィラメント)という。

長繊維(スパンデックス)とは

逆に、ナイロン、ポリエステルといった化学繊維や、蚕(かいこ)が口から吐き出す絹糸は、はじめから1本の糸のようになっていて、繊維が長い。
こうして、長い繊維の集まりでできた糸を、長繊維(スパンデックス)という。
釣りで使うときのナイロンの釣り糸のようなものを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。

 

短繊維(フィラメント)の特徴は、
細かい繊維の集まりなので、手触りに「ザラッ」とした触感が出る
ケバダチがある
光沢がなくマットな質感になる
風や湿気を通す
洗ったときに縮みや歪みが出やすい
といった特徴があるので、風通しが良く肌触りがよいので、主に夏向きの素材 に使われたりする。

長繊維(フィラメント)の特徴は、
さらりとした手触り
ケバダチがない
光沢が出やすいので高級感が出る
風や湿気を通しにくい
洗っても型崩れしにくい
といったような特徴があるので、主に高級衣料や、スポーツ素材、冬向きの素材として使われたりする。

で、ここからが本題だけど、

ナイロンは、石油からできる化学繊維なので、
普通は長繊維 (スパンデックス)で作るのが常識なんだけど、

KOLORの阿部さんは、このナイロンの原料を使って、はじめに短いファイバー状の繊維をつくり、
(シロップをかける前のかき氷のようなものを想像してもらうと分かりやすい)
それを、通常のウールやコットンのように紡いで紡毛にした。
つまり、ナイロンなのに短繊維(フィラメント)として糸を作った。

実際に生地にするときには、さらにこれに圧力や熱を加えて、ガンガンに圧縮をさせ、
フィラメントが圧縮しやすいという特徴を使って、ナイロンの圧縮素材を作った。

(*通常ナイロンのスパンデックスは通常縮みにくく型崩れしないが、逆に縮絨加工させようと思うと大変難しい)

このようにしてできた素材なので、

KOLORのナイロンフィラメントのシリーズは、 ちょっと異質なくらいゴワゴワと固い素材に仕上がった。

固いので、ジャケットは肩の後ろのにミリタリーのディテールとして、アクションプリーツがついて、動きやすくしてある。
このあたりは、パターンナーさんの工夫だろう。

そして、ナイロンをフィラメントで作ることで、
「ナイロン独特のツヤ」を抑えた「マットな見た目」になり、春夏でも涼しそうな表情になる。
また、ナイロンなのに吸湿性があるといった効果がある。
ナイロンなのでシワや型崩れもなく、風の強い日には防風効果があり、
風の強い春から湿気のある夏まで、日本の春夏にガンガン着られる素材なのだ。

 

伝えるべきこと

『 こうした素材をつくろうというアイデアが浮かぶデザイナーさんもスゴイが、
普通はしないナイロンフィラメント糸を作ることを可能とし、それを生地に織り上げ、それを縮絨加工するという、
たいへん難しい技術をつかっているが、これを作れる【日本の工場の技術】も、とってもスゴイのである。』

というようなことを、

お店でもお客さんに語って伝えていかねばならない。

KOLORやそれを支える日本の工場技術がなぜ世界でも高い評価を得ているのか、
こういうアイテムを実際に手にとってみてもらわないと、その理由も伝わらないだろう。

これは雑誌にも載らない情報だし、 説明を受けないとわからない部分。
しかしこうしたアイテムが1つ店頭にあれば、
ブランドの姿勢や背景をたくさん説明でき、実感してもらえるはず。
そこを語りたいので、TIURFとしてはこういうアイテムこそ発注する。

リンク先を見てもらうとわかるとおり、TIURFとしてはこの素材はコートもジャケットもブルゾンも全色オーダーしちゃう。

ナイロンフィラメントの素材シリーズ と、 カラミの素材シリーズ )


また、KOLOR2013-14秋冬でいうと、

いくつかある圧縮素材のシリーズがそうしたコダワリアイテムで。
これは今まさにオーダー中なので、 オーダーが完了次第ここに書きますね。

 

一致するトレンド

いまコレ書きながら思いましたが、

1314秋冬の08SIRCUSも、
デザイナーさんのイチオシアイテムは、
いままでにみたこともないような大変面白い【圧縮加工】の素材でした。

圧縮、ゴワゴワ、固い、

というのは、このクラスのデザイナーさんたちのマイブームなのかもしれないですね。

 

と、久々に長文を書いてしまいました。

外付けHDの画像フォルダも復旧したので、発注作業に戻ります。

ではまた。

 

 

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